社会保険労務士（しゃかいほけんろうむし、略して社労士）は、「人」に関するエキスパートで、主に労働や社会保険（健康保険・厚生年金など）に関する法律の専門家です。
企業で働く従業員の採用から退職までにまつわる手続きや、職場のルール作り、労働に関するトラブル解決などをサポートする国家資格を持つ専門家と考えるとわかりやすいでしょう。
主な仕事内容
社労士の仕事は大きく分けて3つの柱があります。
1.手続きの代行・書類作成（デスクワーク）
企業が従業員を雇うときや、従業員が退職するとき、病気や出産で休むときなど、社会保険や労働保険に関する様々な手続きを、企業に代わって行います。
- 労働・社会保険の手続き：
健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの加入・脱退、保険料の計算、給付金（出産手当金、育児休業給付金など）の申請を代行して行います。 - 帳簿書類の作成：
法律に基づいた就業規則（職場のルールブック）や賃金台帳（給料の記録）などの重要な書類を作成します。
2.労務管理に関する相談・指導（コンサルティング）
企業や経営者が、従業員が働きやすい環境を作るためのアドバイスをしたり、労働法に違反しないように指導したりします。
- 人事・労務に関する相談：
残業代の計算方法、従業員の給与体系の見直し、ハラスメント対策など、「人」に関する経営上の問題について相談に乗ります。 - 助成金の申請支援：
企業が利用できる雇用関連の助成金（国からもらえるお金）を探して、申請をサポートします。
3.年金相談・紛争解決の手伝い
企業だけでなく、個人の年金に関する相談にも乗り、トラブル解決のサポートも行います。
- 年金相談：
老齢年金や障害年金など、複雑な年金制度についてわかりやすく説明し、年金を受け取るための請求手続きを代行します。 - 労働トラブルの解決：
会社と従業員の間に労働に関するトラブル（解雇、賃金未払いなど）が起きた際、裁判ではなく「あっせん」という話し合いで解決するための代理人としてサポートします。（※特定の研修を修了した特定社会保険労務士のみが可能）
社労士がいることで、企業は安心して経営に専念でき、従業員は安心して働くことができる、というわけです。
では、社労士になるには、どうしたらいいのでしょうか？
社労士になるには、主に以下の２つのステップが必要です。
- 社会保険労務士試験に合格
- 全国社会保険労務士会連合会への登録
それでは、次の章で「社会保険労務士試験」について解説します。