難易度と合格のポイント

社労士試験は、数ある国家資格の中でも「難関」と言われています。

1.合格率の目安

例年の合格率は5%~7%程度(100人受けて5~7人しか受からない計算です。)で推移しており、平均受験回数は4回と言われています。

国家資格の難易度ランキングでも、上位に位置する資格で、決して簡単に取得できるものではありません。

2.合格に必要な勉強時間の目安

一般的に、合格に必要な勉強時間の目安は、700時間~1,000時間とされています。

フルタイムの社会人が毎日勉強する場合、平日に2~3時間、休日に5~6時間の勉強を、休むことなく1年間続ける必要があります。
最低1年間は、飲み会や遊びをすべて断り、毎日必死で取り組む覚悟が必要です。

3.合格が難しい理由

社労士試験の合格率が低い最大の理由は「総合点」だけでなく、「科目ごとの合格基準点」、通称「足切り」があることです。

社労士試験では、選択式と択一式のそれぞれに総得点基準と科目ごとの基準が設けられています。

方式総合点科目ごとの合格基準点(足切りライン)
選択式25点以上各科目3点以上(5問中3問正解)
択一式43点以上各科目4点以上(10問中4問正解)

※これらの基準点は目安であり、その年の難易度によって調整されます

特に受験生を悩ませるのが選択式の足切りです。1科目でも基準点(3点)に届かないと、不合格となります。そのため、全8科目中7科目が満点でも、残り1科目で2点を取ってしまえば、不合格が確定します。

この足切りは、特に以下の理由から「運」の要素が強くなります。

  • 出題範囲の広さと深さ:
    例年、テキストの隅をつくような細かい知識や、統計・白書からまったく見たことのないような難問が出題されることがあります。
  • 1問の重みが非常に大きい:
    選択式は1科目わずか5問しかありません。そのうち1問を落とすだけで、すぐに足切りライン(3点)に近づいてしまいます。
  • 難問が合否を分ける:
    この数問の難問により、「2問まではわかったが、残り1問がわからず勘に頼るしかない」という状況が生まれます。たった1点の差で合否が分かれるため、「知識はあるのに不合格」という事態が起こりえます。

また、一度合格した科目でも次年度以降の試験で免除される制度がありません。

そのため、昨年は満点だった得意科目を、今年の試験でたまたま落として「足切り」にかかり、不合格となるケースもあります。知識を積み重ねて総得点ラインはクリアできるようになっても、この「足切り」に毎年引っかかり続ける受験生は少なくありません。1年目に「あと1点だけだったから」と頑張ったとしても、10年間毎年1点足りず合格できないというケースも、あるあるなのです

結果として、この厳しい基準を突破するためには、「今年はこれだけ頑張ろう」というような山を張った勉強では不十分です。毎年、全科目をまんべんなく、苦手科目を作らずに、広い出題範囲をしっかりと網羅する必要があります。

次の章では「社労士試験合格の大変さ」について解説します。